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私学マネジメントニュース(メールマガジン)配信
私学経営もスピードが問われる時代。教育や学校経営に関する最新情報は常にチェックし、自校の経営に活かす必要があります。
そこで、本協会では会員校向けに隔週のメールマガジンを配信。中高大の入試動向や教育行政の動き、人気校の気になる取り組みなど旬の情報をタイムリーにご提供します。
赤井知一・酒井邦彦 著
『不登校生が留学で見つけた自分の居場所』
不登校生が留学で見つけた自分の居場所 (不登校の私が海外留学できるの?)(出版社)
2019年度文部科学省統計データによると、小学生で約53,000人、中学生で約128,000人、高校生は約50,000人で、合計約23万人以上の子ども達が不登校になっています。特に中学生は約128,000人と過去最多で、中学生人口の約3.9%が不登校になっており、前年に比べても約7%増えています。不登校の理由は、学校に係わる状況においては「友人関係」がトップで、「学業不振」や「入学・進級時の不適応」が続きます。
また近年、この「不登校」には該当しない「不登校傾向」にある子ども達の存在も顕在化しつつあるといいます。子どもが不登校または不登校傾向にある場合、保護者や学校は子どもに対してどのようなサポートをしてあげることができるのでしょうか。
今回紹介する「不登校生が留学で見つけた自分の居場所」は、多くの不登校生が自分の居場所を見つける一つ選択肢として海外留学を選び、学ぶことの楽しさ、自分への誇り、将来への展望などを取り戻す様子が実体験として描かれており、生きるうえでのヒントがたくさん詰まっている一冊になっています。
「学校が苦手なのに海外の学校に通うことができるのだろうか」と疑問に感じるかもしれません。結論から言うと、全ての方が留学を実現できるわけではありません。しかし、本人の努力、そして家族や周りのサポートによって実現できる可能性はあると言います。日本の学校には合わないと感じていても、今までとは全く違った環境と教育方針に適合し、不登校だった子どもたちが海外では解放され、自由に学べるようになった例が実際に本書で紹介されています。
そして、不登校、または不登校傾向にある現中学生と卒業生を対象に、「学びたい場所」について聞いた調査結果※では、
・自分の好きなことを突き詰めることができる場所
・自分の学習ペースにあった手助けがある場所
・常に新しいことが学べる場所
・クラスや時間割に縛られず、自分でカリキュラムを組むことが出来る場所
上記のような回答結果が示されていました。実は海外の学校にはこれらの要素が詰まっていて、好きなことや得意なことをさらに伸ばし、自分のペースを大切にして学ぶことができ、そして、日本では想像できないくらいの多様な専門科目が充実していて新しいことを学ぶチャンスがあり、好きな教科や興味のある教科に向き合えるといいます。「学びたい場所」という視点で見ても、不登校生にとって学ぶ場所は日本だけではないのかもしれません。
※日本財団『不登校傾向にある子どもの実態調査(2018年)』
本書には、海外留学を経験して、自分の居場所を見つけ自分らしく生き生きと過ごしている不登校生たちの体験談がたくさん紹介されています。参考になる事例があるかもしれませんので、よろしければご一読ください。
<著者プロフィール>(本著より引用)
■赤井知一(あかいともかず)
留学カウンセラー、(株)ターニングポイント代表
高1でアメリカ短期留学、大学卒業後に2年間のオーストラリア留学を経験する。その後、25年間以上にわたり留学サポートに従事し、その間5,000人以上の留学生を送り出す。現在は不登校や障害を持った子どもたちに留学という選択肢を提案。また、通信制高校合同相談会では留学講演会や留学個別相談を行い、多くの不登校生の留学を実現させている。
■酒井邦彦(さかいくにひこ)
留学カウンセラー、(株)ターニングポイント共同代表
オーストラリアで1年間の海外生活を経験。多くの不登校生と向き合い、「慌てず、焦らず、ゆっくりと」をモットーに留学を通しての自分の居場所探しを提案している。留学経験で得たマイノリティー(少数派)の視点を忘れず、日常生活にも活かしている。
コアネット教育総合研究所 竹内梨恵